そうだ。チョコを食べよう。
そう思ったのは、世間がチョコだチョコだと騒ぐ声が止んでから幾日か過ぎた頃でした。
残業からの帰り道、糖分が欲しいと叫ぶ脳の訴えを退けることが出来ず、餅だんごは駅前のファミリーマートへと駆け込んだのです。
夜もすでに遅く、高い糖質は体脂肪へも影響する。
しかし、そんな太りたくないという理性など、疲れ果てた脳からは、とうの昔に吹き飛んでしまっていました。
スイーツコーナーにはひとを堕落させる甘味の群れがこれでもかというほどありました。
プリンにパフェに果物にクッキーにパンケーキ。その他和菓子も多数。
棚に並ぶ幸福指数を上げてくれるスイーツたちに、餅だんごはどれを選ぼうか迷いました。
しかし、ふと餅だんごの目には、円柱形のスイーツが目に入りました。
そう「ザッハトルテ」です。
この「ザッハトルテ」を見た瞬間、餅だんごの頭には、この甘味を口にした時のイメージが直感的に浮かんだのです。きっと幸せになれるぞと。
そうして餅だんごは迷わずこの「ザッハトルテ」を選んだのでした。
いやぁ、この「ザッハトルテ」の甘いこと甘いこと。
空腹は最高の調味料と言いますが、脳が欲していたこともあり、この時の「ザッハトルテ」の味はまさに至福のそれでした。
舌を蕩かす砂糖の甘み、緩んだ口内をきゅっと引き締める僅かながらのカカオの苦み。
その甘美たるや人を堕落に誘う麻薬のようでした。
素晴らしき哉、チョコの力。
これはバレンタインでなくとも欲しくなるというものです。
チョコの糖分とカカオの働きもあり、餅だんごの疲労困憊となっていた脳はすぐに元気を取り戻したのです。
すみません。誇張が過ぎました。
でも食べた当時はそれくらい美味しく感じたのです。
コンビニのスイーツにこれほどの感動を感じてしまう安上がりな自分の舌には、さすがの餅だんごも恥じ入るばかりです。
しかし、空腹は最大の調味料というのは事実でしょう。
疲れ切った時には、たまには体のことを気にせず、自分の食べたいものを食べるのも良いのでは。お気に入りの味が、普段よりもずっと美味しく感じられるかもしれません。
とってもお腹がすいた状態で、ザッハトルテを食べたら美味しすぎて失神しそうです( ゚Д゚)!
脳に沁みる美味しさでした。